農業関係の皆さま

北のクリーン農産物表示制度のQ&A

Q and A

1. 表示制度の概要

  •  この制度は、北海道で生産されたクリーン農産物に対する理解と信頼をより一層得るために、クリーン農業技術の導入等、一定の基凖を満たした農産物にYES!cleanマークを表示し、詳しい栽培情報をお知らせするものである。

  •  北海道では、平成3年度から環境調和型農業(クリーン農業)を推進し、クリーン農業技術の開発及びこれらの技術を生かした産地づくりを進めてきた。

     さらに、消費者の安全性志向が高まり、国等でも種々の表示制度の整備がなされてきたことや、流通・販売面においてクリーン農産物の差別化を図る表示制度が、産地の拡大推進にも欠かせないと判断されたことなどから、農業団体や行政機関、経済・流通・消費者団体等が構成する「北海道クリーン農業推進協議会」が、平成12年度に本表示制度を創設したものである。

2. 平成15年度の表示制度改正の概要

  •  BSEや食品の偽装表示などの事件に鑑み、食の安全・安心に関する消費者の信頼が大きく揺らいだことから、クリーン農業を北海道に広めていくためには、当表示制度を消費者により分かりやすく、より信頼される制度とすることが課題となり、改正を行ったものである。

  •  平成15年度における主な改正点は以下のとおり。

    1. 登録基準の数値化
       より消費者や実需者にわかりやすい制度とするため、今回の改正において、化学肥料の使用量や化学合成農薬の成分使用回数に係る登録基準を数値化して策定することとした。
      • 対象農産物の主要な作型毎に、化学肥料の使用量及び化学合成農薬の使用回数を数値化した登録基準を策定
      • 肥料については、環境により配慮するため、化学肥料だけではなく、堆肥や有機質肥料を含めた肥料全体の総窒素施用量の数値化基準を策定
      • YES!clean農産物の優位点を消費者へ効果的に認知してもらうため、道が策定した慣行レベルを比較対照として要領等に記載
      • 登録時の審査の透明性を確保するため、基準をできる限り明文化
    2. 生産集団が整備する情報の充実
      • 栽培履歴記帳の義務化
      • 栽培基準、生産計画を毎年整備するとともに、報告を義務化
    3. 消費者に提供する情報の充実
      • シンボルマークの表示を義務化
      • シンボルマークとセットで表示する情報の内容(化学肥料・化学合成農薬の使用状況、慣行レベルとの比較)を充実
      • 票片、HP等による詳細な栽培情報(クリーン農業技術、使用資材等)の提供を義務化
    4. その他
      • 生産集団管理体制の強化
      • 栽培実績要件の明確化
      • 栽培基準の変更手続きの明確化
      • 事故発生報告の義務化
  •  平成15年度の改正前の制度においては、クリーン農業技術を導入し、技術導入前に比べて化学肥料や化学合成農薬の使用を削減して生産されていることが登録の基凖となっていたため、YES!clean農産物の化学肥料の使用量や化学合成農薬の成分使用回数は登録集団ごとにバラツキがあった。

     このことは、消費者や実需者が、本制度をわかりにくくしているとの指摘があっことなどから、より消費者や実需者にわかりやすい制度とするため、化学肥料の使用量や化学合成農薬の成分使用回数に係る登録基準を平成15年度に改正し、数値化して策定した。

  •  農林水産省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」(平成4年10月1日付け4食流第3889号)は、技術や収量等に関係なく5割以上の削減を示したものであるが、本表示制度の登録基凖では、道立農業試験場等で開発されたクリーン農業技術等を導入して、慣行栽培と同等の収量・品質を維持でき得る総窒素量の上限や化学肥料の使用量及び化学合成農薬の使用回数を設定したものである。

     この考え方により、クリーン農業に取り組む生産集団が、概ね登録集団となる要件を満たせるようになることから、クリーン農業を北海道に広く推進していくことが期待できるものと考える。

  •  平成15年度の改正前の制度では、「生産者の実績等からみて栽培基凖による確実な生産が見込まれ、適正な生産の計画が立てられていること」が登録集団の要件としていた。

     しかしながら、「生産者の実績」の定義が明確になっていなかったため、「生産者の実績」を「原則として前年に表示対象農産物を登録基凖に適合して生産した実績」により「確実な生産が見込まれる」判断基凖を明確化した。

3. 表示対象農産物

  • (1)全般
  •  次の①から④までの要件の全てに適合していることが必要である。

    1. 北海道内で生産された農産物
    2. 地方独立行政法人北海道立総合研究機構(以下(地独)道総研)農業試験場等で開発・改良された「クリーン農業技術」を導入し、化学肥料の使用量や化学合成農薬の使用回数を削減する等、別に定める登録基準に適合して生産された農産物
    3. 登録集団の構成員が、当該集団の定める栽培基準に基づき生産した農産物
    4. ①~③の要件を満たす農産物と他の農産物とが混合しないよう、分別収穫、保管、出荷される農産物
  •  クリーン農業の推進のため、収量水凖の維持を前提に化学肥料・化学合成農薬の削減とともに品質向上を目標に(地独)道総研農業試験場等が開発した土づくり・施肥管理技術や防除技術などを指すものである。(例としては、キャベツにつくコナガなどの害虫の侵食痕を指標とした要防除水凖に基づく農薬削減技術や、マリーゴールド、えん麦野生種、ステビアなどの対抗植物によって線虫を防ぐなどの耕種的防除技術など)

  •  国、道以外の自治体の農業試験場、民間の研究機関等を指すものであり、クリーン農業技術の開発・改良を行っている機関の制限はない。

  •  生産集団とは、農協の生産部会のほか、複数の生産者で構成するグループ等である。

     なお、生産者の数については、クリーン農産物の生産の面的な拡がりを図る観点から、できるだけ多くの生産者から構成されていることが望ましい。

  • (2)登録基準
  • ① 対象農産物
  •  原則、申請が可能なものは登録基準のある農産物としている。

     しかし、下記(参考)を根拠として、登録の対象としていない農産物についても、生産者及び消費者からのニーズが高いものについては、登録基準の設定を検討することとしている。

    (参考)『「北のクリーン農産物表示制度」の改正について(平成15年9月25日制定)』

    第3の3 登録基準を設定していない農産物、作型の取扱い等について
     登録基準の対象となっていない農産物は、地域の栽培実態の情報やクリーン農業技術の蓄積が極めて少ないものであるため、申請された場合も登録の是非の判断が困難であることから登録対象とはしないこととする。
     ただし、今回の改正で登録の対象としなかった農産物についても、生産者及び消費者からのニーズが高いものについては、登録基準の設定を検討するものとする。
     なお、登録基準の対象となっているが、収穫期間の長さの違い等により登録基準をそのまま適用することが困難な場合は、予め、本協議会と協議するものとする。

  •  登録基準は道内で栽培されている主要な作型、品種を考慮して策定しているが、登録基準にある作物で、作型が設定されていない場合は、審査段階で個別に検討して判定するので、申請は可能である。

  • ② 栽培方法
  •  登録基準において、表示の対象となる農産物は「堆肥等の施用などによる土づくりを基本として、化学肥料や化学合成農薬の使用を最小限にとどめる栽培方法」を原則としている。

     このため、「土づくり」を行わない、栄養分を溶解した水溶液で農産物を育てる水耕栽培等(「水耕栽培」や「れき・砂・くん炭・ロックウール等の固形培地で栽培する溶液栽培」)は対象外としている。

  • ③ 種苗
  •  当制度は消費者や実需者からクリーン農産物への理解と信頼を獲得することにより、クリーン農業に取り組む産地の育成を図ることを目的としている。

     遺伝子組換え農産物については、消費者の不安が根強いため、これらを対象とすることは、消費者や実需者の当制度への信頼を揺るがすことが懸念されることから、対象としない。

  • ④ 肥料・化学肥料の使用
  • Ⅰ. 総論
  •  次の4点を数値化し、登録基準とした。

    1. 総窒素施用量上限値
    2. 堆肥等有機物施用量下限値
    3. 化学肥料施用量上限値
    4. 堆肥施用量上限値
  •  ふん尿問題にみられるように、有機物であっても過剰施用は環境汚染をもたらすことが明らかになったことから、施用されるすべての肥料に係る「総窒素施用量」に上限値を設けている。

     「総窒素施用量」とは次の窒素成分量の合計をいう。

    1. 「土づくり」のために施用する堆肥等有機物に由来する窒素成分量のうち当該期間有効分
    2. 前作の農産物の収穫後から当該農産物の収穫までの期間に施用される有機質肥料及び化学肥料に由来する窒素成分量
      ※ ただし、前作の農産物のは種前に、当該農産物への施肥を考慮してロング肥料等を施用した場合、当該農産物に対応する当該肥料の窒素成分量もカウント対象となる。
  •  本制度では、環境との調和に配慮しつつ良質な農産物を生産する「クリーン農業」の推進を目的としていることから、地下水等環境に負荷を与えない範囲で現行の収量と品質を維持できる養分供給量を総窒素施用量上限値として設定したものである(下図B領域)。
     養分供給量(特に窒素)と作物の収量及び環境負荷との関係は、一般的には以下の模式図で表される。従来は高収を目標に、安全を見込んでやや過剰の養分領域(C)で施肥管理を行っていたが、水稲、麦等では、食味等の低下や、環境負荷の増大も懸念されている。

    図.Q18
  •  次に該当する期間に「土づくり」のために施用された堆肥等有機物に係る窒素成分量をいう。

    1. 年1作の作物の場合
      前作の農産物の収穫後から当該農産物の収穫までの期間
      [例]
      図.Q19-1
    2. 年2作以上作付け可能な作物の場合
      当該農産物の収穫終了日から1年前までの期間
      [例]
      図.Q19-2

     なお、堆肥等有機物の施用量に係る窒素成分量の評価は農産物によって異なっており、登録基準の「別表2」を参考にされたい。

  •  生わら、もみがら、生草、海藻又は動物の排せつ物などの有機物質(都市じんかい、汚泥も含む)を主体とし、堆積腐熟させたもので、積み肥ともいう。

  •  クリーン農産物を安定的に生産するためには、堆肥等の有機物の施用による健全な「土づくり」を行うことが基本であることから、最低限の施用を義務づける下限値を設けることとした。

     下限値については、当該ほ場において1年間に施用しなければならない堆肥等の有機物の施用量をいう。

  •  堆肥等有機物の施用の下限値については、堆肥の代わりに「堆肥に相当する有機物」を施用しても差し支えないこととしている。

     「堆肥に相当する有機物」は次のとおりである。

    1. 当該期間有効である有機物の窒素成分量が、堆肥から供給される窒素成分と同等である有機物
      (例)
      • 畑作物栽培における堆肥の施用量の下限値は、1t/10a以上である。
      • この場合の堆肥は牛ふん麦稈堆肥を指し、これに係る窒素成分量は、1kg/tである。
      • 例えば、牛ふん麦稈堆肥の代わりに「魚かす」を施用した場合、「魚かす」の窒素成分量は5kg/100kgであることから、1kgの窒素成分を含有する「魚かす」重量は20kgとなる。
      • このため、「魚かす」で代替した場合、「魚かす」の施用量は、20kg/10a以上となる。
    2. 当該期間有効である有機物の乾物量が、堆肥から供給される乾物量と同等である有機物
      (例)
      • 畑作物栽培における堆肥の施用量の下限値は、1t/10a以上である。
      • この場合の堆肥は牛ふん麦稈堆肥を指し、これに係る乾物量は、300kg/t*1t/10a=300kg/10a である。
      • 例えば、当該畑作物のほ場において、前作の後作緑肥にえん麦を栽培し、すき込む場合、当該地域のえん麦の生産量が4,000kg/10aの場合は、乾物量は4,000kg×15%(乾物率)=600kg/10aとなることから、堆肥を施用しなくても基準を満たしていることとなる。

     なお、「相当する有機物」の窒素成分及び乾物量に係る換算表は登録基準の「参考1」を参考とされたい。

  •  化学肥料施用量上限値の算定は、原則次のとおりである。

    図.Q23

     「堆肥等有機物施用量下限値に係る窒素換算量」については、Q21及びQ22を参考にされたい。

  •  堆肥の過剰施用は当該期間以降の硝酸性窒素の下層土への移行、ひいては地下水への流出等の環境汚染にもつながることが懸念されることから、施用の上限値を設定することとした。
     なお、この場合の「堆肥」とは牛ふん麦稈堆肥、牛ふん敷料堆肥等、牛のふん尿割合の高い堆肥をいう。
     堆肥の施用量上限値については次のとおりである。

    • 畑 作  3t/10a
    • 野菜畑(年1作)  3t/10a
    • 野菜畑(年2作)  5t/10a

    ※ 輪作を行っている場合は、輪作内での平均とする(畑作4年輪作の場合、4年間で投入した堆肥の総施用量を4(年数)で除したものが3t/10aを超えないものとする)が、1年間の施用量が5t/10aを超えないものとする。

    ※ ハウスの場合は上限値を設けないが、堆肥等有機物施用量下限値である4t/10aを目安に施用するものとする。

  •  道が策定した「北海道施肥ガイド」(以下、「施肥ガイド」という。)を根拠とした。

  •  環境への負荷を抑制するとともに、当該農産物の目標数量を達成するための必要最小限の施肥量を定めたものである。

     「施肥ガイド」は、土壌診断基準に基づく適正な施肥量を設定している。
     なお、「施肥ガイド」は地帯別や土壌別の区分が細かく設定されており、また、窒素成分以外にもリン酸やカリの施肥量の基準も示されているが、当制度においては、消費者にとってわかりやすい基準とするために、水稲以外の地帯別区分の一本化や土壌区分の統合(5区分→3区分)、窒素成分のみの登録基準の設定を行う等、「施肥ガイド」を簡略化した。

  •  農業地帯における硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素による地下水汚染は、過剰施肥が主な原因の一つになっていると考えられるため、緊急に解決しなければならない問題となっている。
     これを解決するためには、施用する窒素成分量を的確に把握し、植物体が吸収した後の土壌中の残存窒素量を最小限にすることが必要であることから、窒素成分を登録基準とした。

     なお、リン酸及びカリについても、当制度における施肥の考え方が「施肥ガイド」を基本としていることから、登録基準を設定していないが、「施肥ガイド」に基づく的確な施用をされたい。

  •  当該農産物の作付けのため、前年に栽培した農産物の収穫後に栽培する緑肥は、堆肥等有機物に相当する。

  • Ⅱ. 土壌診断
  •  登録基準をクリアしていればYES!cleanの表示は可能となるが、クリーン農業は環境との調和を図る観点から、収量を維持しながら登録基準の値よりもさらに少ない窒素の施用を推進している。
     このことから、環境に負荷をかけずに一定収量を達成するための必要最小限の窒素施用量を算定するためには、土壌診断が必要と考える。

  •  必須の分析項目は、次のとおり農産物ごとに区分される。

    作物区分分析項目
    水稲湛水培養窒素
    畑作物熱水抽出性窒素
    野菜(露地)生土培養窒素または熱水抽出性窒素
    野菜(ハウス)硝酸態窒素

     なお次の農産物については、総窒素施用量上限値等において土壌窒素肥沃度別の基準値を設定していないので、土壌診断は義務化しないが、的確な施肥を行うために実施に努めるものとする。

    • 秋まき小麦でパン用に「キタノカオリ」を栽培する場合、春まき小麦、豆類、そば、ひまわり、小ねぎ、ターサイ、あさつき、はつかだいこん、まくわうり、リーフレタス、サラダナ、セルリー、モロヘイヤ、チコリ、ヤーコン、サンチュ、果樹

     また、登録基準に設定していないが、次の項目についても、土壌診断の実施に努めるものとする。

    1. pH
    2. リン酸
    3. カリ
    4. 苦土
    5. 石灰
  • 「湛水培養窒素」「熱水抽出性窒素」「生土培養窒素」

    • 数値が比較的安定しているので、登録申請時には過去3年以降に分析された値をもって総窒素施用量を設定するものとする。
    • 登録後も3年に1度実施するものとする。

    「硝酸態窒素」

    • 登録申請時には過去1年以内に分析された値をもって総窒素施用量を設定するものとする。
    • 登録後も毎年実施するものとする。
  •  「湛水培養窒素」「熱水抽出性窒素」「生土培養窒素」

    • 随時で差し支えない。

    「硝酸態窒素」

    • 原則施肥(土づくりのための堆肥等有機物の施用を含む)前に実施する。
    • ただし、土づくりのための堆肥等有機物の施用が秋口で、冬場ハウスの被覆を取り外す場合は、春先の施肥前に実施しても差し支えない。
  •  生産集団における単数または複数の代表的な肥沃度を有する土壌区分を対象に分析するものとする。

  •  EC値と硝酸態窒素量の換算表を地域ごとに策定の上、適用することで差し支えないものとする。 なお、登録申請書には、この換算表を添付されたい。

  • Ⅲ. 総窒素施用料上限値
  •  最も窒素肥沃度の低いほ場の値で、総窒素施用量の上限値を決めることとする。
     なお、申請書の記入に当たっては、構成員が使用する総窒素施用量と化学肥料施用量の最大値を適用するものとする。

     この場合、適用する総窒素施用量と化学肥料施用量の値が同一構成員のものである場合、申請書には当該構成員の施肥に係る窒素成分の数値を記入するものとする。

     また、総窒素施用量と化学肥料施用量の値が異なる構成員のものである場合、申請書にはそれぞれの構成員の施肥に係る窒素成分の数値を記入するものとする。

  •  カウントする。

  •  土壌還元消毒を行った場合、土壌中の硝酸態濃度は著しく低くなる場合があるが、逆に土壌還元の際に使う「ふすま」「米ぬか」からアンモニア態窒素が供給されるため、全体として土壌中の窒素分が不足することはない。

     このため、登録基準に基づく窒素施用量で土壌中の窒素成分が不足することはない。

     なお、「ふすま」「米ぬか」の窒素成分については、土壌還元消毒により著しく流出した硝酸態窒素相当分を結果として補完するものであり、単に土壌中に「ふすま」「米ぬか」に係る窒素成分が増加したものではないことから、カウント対象外として取り扱うものとする。

  •  当制度の施肥に対する考え方は、「施肥ガイド」を基本としており、また、登録基準は「施肥ガイド」の基準を簡略化して作成したものである。

     以上のことから、栽培基準の策定に当たっては、土壌診断結果を鑑み、「施肥ガイド」に記載されている数値を基本とされたい。

  •  換算した窒素の含有量が1kg/10aに満たない場合は、カウントしないこととし、1kg/10aを超える場合には、カウントするものとする。

  • Ⅳ. 堆肥等有機物施用量下限値
  •  次の方法で対応するものとする。

    1. 輪作体系が確立している場合
      輪作内での平均とする。(4年輪作の場合、4年間で投入した堆肥の総施用量を4で除したものが1t/10aを超えていれば基準に適合するものとする)
      • 以下の輪作を行っているケースとする。
        4年輪作
        図.Q40
      • この場合の4年間の堆肥総投入量は4t/10aとなる。
      • 従って、年間平均 4t/10a÷4年=1t/10a・年 となり、基準を満たしている。
    2. 輪作体系が確立していない場合
      前作との平均とする。(前作の農産物に施用した堆肥の施用量を2で除したものが1t/10aを超えていれば基準に適合するものとする)
      (例)
      前作が小豆で、小豆の作付け前に堆肥を3t/10a入れる場合、
      年平均は3t/10a÷2年=1.5t/10a・年 となり、基準を満たしている。

     なお、上記の2ケースに係る「施用する堆肥等有機物に係る窒素成分量」の算定については、Q19及び登録基準の「別表2」を参照にされたい。

  •  堆肥等有機物施用量下限値は、当該ほ場において1年間に最低限施用しなければならない堆肥等有機物の施用量の値をいう。

     このため、施設野菜における堆肥等有機物施用量下限値は4t/10aであることから、上記質問事例は、基準に適合していることとなる。

     なお、このケースにおける、「施用する堆肥等有機物に係る窒素成分量のうち当該期間有効分」については、Q19及び登録基準の「別表2」を参照されたい。

  •  「液状有機物及びふん尿類」、「有機質肥料」、「有機配合肥料の有機由来分」の窒素は堆肥に比べて有効化が速いため、当作に施用された有機物の窒素換算量([参考1]-2、5)をそのまま有機物由来窒素とする。

  •  窒素肥沃度水準が「やや高」「高」に分類されており、米のタンパク値6.5%(極良食味米)を目標とする集団の場合は堆肥等有機物の施用を免除する。

  •  申請作物が野菜であれば換算できるが、畑作物の場合は、前作のほ場副産物のすき込みを前提としているので、換算することはできない。

  •  畑作物の場合は、前作のほ場副産物(麦稈等)のすき込みを前提として堆肥等有機物施用量下限値を設定しているため、堆肥に相当する有機物とはみなさないものとしていることから換算することはできない。

  •  別のほ場から持ち込んだ場合は堆肥に相当する有機物とみなし、換算することができる。

  •  えん麦の窒素換算量は0kg/生産量tである。(登録基準[参考1]参照)

  •  みなしてもよい。

    (例)

    • 露地野菜4年輪作(1年休閑緑肥含む)の場合、4年間で投入すべき堆肥は、
      2t/10a・年×4年=8t/10a(牛ふん麦稈堆肥とする)
    • 堆肥8t/10aに対応する乾物量は、300kg/t・10a×8t=2,400kg/10a
    • 休閑緑肥でとうもろこしを作付けする場合、とうもろこしに係る乾物量は、休閑(春~9月以降まで栽培)の場合、当該地域の生産量を7,000kg/10aと設定すると、7,000×20%(乾物率)=1,400kg/10aとなることから、これを考慮した上で、4年間で必要とする堆肥の量は、
      2,400kg/10a-1,400kg/10a=1,000kg/10a
      1,000kg/10a÷300kg/t=3.33t/10a …… 3.4t/10a となる。
  •  有機由来と化学肥料由来の窒素成分を分割して算定し、有機由来の窒素成分量のみ堆肥に相当する有機物とみなされる。

     算定例は、登録基準[参考1]を参照されたい。

  •  ①、②のどちらで算出してもよい。
     ただし、成分保証票は窒素の含有量であるのに対し、[参考1]の[有機質肥料]は、作物体が吸収する窒素成分を換算したものであることから、[参考1]により算出することがより望ましいと考える。

  • Ⅴ. 化学肥料施用量上限値
  •  カウントする。

  •  化学肥料施用量上限値の算定は、原則次のとおりである。

    図.Q52-1

     しかしながら、クリーン農業を推進する観点から、窒素肥沃度が「低」の土壌については、積極的に堆肥等の投入による「土づくり」を進め、窒素肥沃度を「中」レベルに高めていくことが必要であることから、窒素肥沃度が「低」における化学肥料施用量上限値は上記の算式によらず、窒素肥沃度「中」と同等の値とした。
     これにより、窒素肥沃度が「低」の土壌における化学肥料施用量上限値の算定は、次のとおりとなる。

    図.Q52-2

     化学肥料施用量上限値=当該農産物に係る窒素肥沃度「中」における総窒素施用量上限値-堆肥等有機物施用量下限値に係る窒素換算量

  •  化学肥料の施用時期は当該期間に該当するが、目的が当該農産物ではなく、緑肥の生育を助長するものであるため、カウントしないものとする。

  • Ⅵ. 堆肥施用量上限値
  •  牛ふん麦稈堆肥、牛糞敷料堆肥等、牛のふん尿割合の高い堆肥についてのみ適用する。

  •  永年性作物の植付け時や小規模土地基盤整備で行う有機物の大量投入については堆肥施用量上限値のカウントの対象外とする。

  •  緑肥の生育が確保される8月中旬以前に播種されるのであれば、年2作野菜畑と見なし、堆肥施用量上限値5t/10aを施用することができるものとする。

  • ⑤ 化学合成農薬の使用
  • Ⅰ. 総論
  •  「農作物病害虫・雑草防除ガイド」及び「植物成長調整剤使用ガイド」(以下、「防除ガイド」という。)は、病害虫等の発生状況に即応した適期防除の徹底と農薬の適正かつ効率的使用による安全確保を図るため、北海道が病害虫等の防除と農薬の安全使用に関する基本事項を定めたものであり、本道における防除指導の指針となっている。

     防除ガイドは、次の考え方をもとに策定されている。

    • 農薬取締法第12条の4に基づき策定
    • 原則として、農薬取締法に基づく登録があり、かつ道立農業試験場等による試験で効果確認された農薬を掲載
    • 毒物及び水質汚濁性農薬等に該当する農薬は掲載しないが、代替農薬のない場合に限り暫定的に掲載
    • 総合防除を推進するため、薬剤防除以外にも、耕種的防除、生物的防除及び物理的防除に関する事項を掲載

     なお、登録基準においては、次の理由により防除ガイドに記載されている農薬の優先的な使用を推進している。

    • 道立農試等による試験で効果が確認された農薬である
    • 原則毒物及び水質汚濁性農薬等に該当する農薬は掲載されていないため、これらを優先的に使用することで、消費者に安心感を与える
  •  登録基準の設定に当たっては、対象病害虫等により「基幹防除」及び「臨機防除」に区分して積算した。

    • 「基幹防除」とは、平均的な病害虫の発生状態を考慮した場合、ほぼ毎年行う必要がある防除
    • 「臨機防除」とは、突発的な病害虫の発生や、地域や品種により発生状態が異なる病害虫に対して行う防除
  • Ⅱ. 対象農薬
  •  農薬取締法第1条の2第1項で規定する「農薬」のうち、化学合成されたものをいう。

    ※ 化学合成:化学的手段(生活現象関連して起こる発酵、熟成等の化学的変化を含まない。)によって化合物及び元素を構造の新たな物質に変化させることをいう。

  •  化学合成農薬については、登録基準第3の(4)に基づき、原則、防除ガイドで指導しているものを使用することとしている。

     防除ガイドは、原則として、毒物及び水質汚濁性農薬等に該当する農薬は掲載しないこととしている。

  •  スイートコーン種子のような、ほとんど海外から購入しており、かつ、商品の選択が極めて困難なものについては、使用を認めるものとする。

     なお、種子消毒に用いた化学合成農薬の成分はすべて使用回数に加える(カウントする)ものとする。

  • Ⅲ. カウント
  •  使用した化学合成農薬の成分数(成分使用回数)がカウントの対象となる。
     なお、性フェロモン剤等誘引剤や展着剤として使用するカゼイン石灰やパラフィン等は除くものとする。

     カウントの考え方は「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」(平成4年10月1日4食流第3889号総合食料局長、生産局長、食糧庁長官通知)に準じるものとする。

  •  化学合成農薬の使用回数は、農薬の有効成分毎にカウントすることになる。

     従って、複数の有効成分を含んでいる混合剤の場合は、単純に散布した回数ではなく、有効成分の延べ回数をカウントすることになる。

     成分使用回数はこの有効成分の延べ回数のことをいう。

  •  次の農薬をカウントの対象としないものとする。

    1. 化学合成されていない農薬
    2. 農薬取締法第2条第1項に基づく特定農薬
    3. 次に掲げる化学合成農薬
      1. 性フェロモン剤等誘引剤
      2. 展着剤などの病害虫や農産物の生理機能の調整に直接作用しないもの
      3. 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律施行令第10条第1号の農林水産大臣が定める化学的に合成された農薬(平成12年7月14日農林水産省告示第1005号)

    硫黄くん煙剤、硫黄粉剤、硫黄・大豆レシチン水和剤、硫黄・銅水和剤、食酢、水和硫黄剤、生石灰、性フェロモン剤、石灰硫黄合剤、炭酸水素ナトリウム水溶剤及び重曹、炭酸水素ナトリウム・銅水和剤、展着剤、銅水和剤、銅粉剤、二酸化炭素くん蒸剤、メタアルデヒド粒剤、硫酸銅並びにワックス水和剤

  •  直接農産物や当該ほ場に散布しないことから、カウントの対象とはならない。
     また、ハウスの敷地内であっても、農産物の栽培域と重複せず、十分な距離があればカウントの対象とはならない。
     ただし、当該農産物等への飛散が懸念されることから、機械除草を実施する等、できるだけ使用しないことが望ましい。

  •  カウント対象となる。

  •  直接農産物や該当ほ場に散布したものではないことから、カウント対象外とする。

  •  直接農産物や該当ほ場に散布したものではないことから、カウント対象外とする。

  •  前作の収穫後から当該農産物の作付けまでの期間のほ場管理及び当該農産物の生産過程(当該農産物の種苗及び収穫物の調製を含む)を対象期間としている。

    [対象期間イメージ]

    図.Q69
  •  種子消毒はカウント対象期間に含まれることから、カウントすることとなる。

  •  購入以前に種苗会社等が使用した化学合成農薬であっても、カウントの対象期間に含まれることからカウントすることとなる。
     このため、生産集団においては、購入している種苗に係る農薬の使用実態について、種苗会社等に照会し、使用回数にカウントしなければならない。

     なお、「種苗法施行規則」及び「使用基準省令」の一部改正によって、指定種苗制度が改正され、平成17年6月21日より指定種苗における使用農薬の有効成分及び使用回数の表示が義務付けられている。

  •  親株から切り離した後、定植するための苗に使用される化学合成農薬からカウントする。

  •  「にら」については、以下のようにカウントする。

    • 定植・収穫1年目:
      図.Q73-1
    • 定植・収穫2年目:
      図.Q73-2

     「アスパラ」については、前作収穫後から翌収穫期までに行った施肥及び使用した化学合成農薬についてカウントする。

     「食用ゆり」の農薬については販売球の種子消毒から、肥料については販売球の植付から収穫までの栽培についてカウントする。

  •  前作収穫後から翌収穫期までに施用した施肥及び使用した化学合成農薬についてカウントする。

  •  着果促進、果実肥大等の目的で使用するトマトの植物成長調整剤は花房ごとに1回使用できることになっているが、カウントの方法は花房毎に順次使用しても当該植物成長調整剤の成分数の1回とする。

  •  2回とカウントする。

  • Ⅳ. 登録判断基準
  •  登録基準における「総防除回数」は、「基幹防除回数」と「臨機防除回数」の合計である。

     登録の可否は、栽培基準に基づく「総防除回数」が登録基準を下回っていることで判断する。

     なお、登録基準基礎資料「クリーン農業技術体系」に記載されている登録使用基準は、登録基準の設定の根拠であり、このとおり使用しなければならないというものではない。

  • ⑥ その他の基準
  •  クリーン農業はできるだけ農薬を使用しないという観点から、発生対応型防除を基本的な考え方としている。

     有人航空防除は現在のところ、対象病害虫の発生の程度にかかわらず防除スケジュールに基づき実施している状況にあり、発生対応型防除の考えに即していないので、禁止することとした。

  •  ばれいしょの茎葉枯凋剤については、以下の理由から使用を認めないこととしている。

    • 茎葉処理機の使用等代替技術が確立していること。
    • 消費者の不安が根強いため、この使用を認めることが、消費者や実需者の本制度への信頼を揺るがす懸念を生じさせること。

     なお、茎葉枯凋剤には、茎葉枯凋を目的とした剤を含むものとする。

  • (3)栽培基準
  • ① 総論
  •  「栽培基準」は、生産集団が策定するものであり、表示を行う農産物の作型毎に栽培に係る品種名や肥料、農薬の使用方法等を定めた基準である。

  • 本制度においては、要領第5条の規定により「栽培基準」に最低限定めるべき次の項目が規定されているが、詳細については要領別紙1を参考にされたい。

    1. 表示を行う農産物及び品種等
    2. 作型
    3. 土づくり技術・施肥管理
    4. 防除技術
    5. 土壌改良資材等その他の資材

     なお、上記の項目の他に生産集団が所在する地域の条件や表示を行う農産物の特性等に応じて必要な項目についても定めることとしている。

  •  作型ごとに栽培基準を作成することとする。

  •  化学肥料については、栽培基準に定めている総窒素施用量及び化学肥料施用量の範囲内であれば、定めていない銘柄のものを使用しても差し支えない。

     化学合成農薬については、栽培基準に定めている範囲内で使用しても差し支えない。
     なお、化学合成農薬については、成分使用回数が栽培基準の範囲内であっても、栽培基準に定められていない薬剤を使用する場合は、栽培基準の変更申請を行わなければならない。(要領第10条第2号)

  • ② 使用肥料
  •  窒素成分だけではなくリン酸、カリ等も土壌ごとの状態に応じて的確に施用する必要があることから、化学肥料についての使用銘柄の統一は必要としない。

     堆肥や有機質肥料等の有機物については、義務化はしないが、生産集団としてのクリーン農業への取組を消費者へ理解してもらうために、統一することが望ましい。

  • ③ 使用農薬
  •  可能であるが、記入する農薬の数については、現在までの栽培実績を踏まえて、必要最小限のものとする。

  •  可能であるが、本ケースにおいて記入した全ての化学合成農薬を使用したことにより、成分使用回数が3回となった場合は、栽培基凖の変更申請又は登録基凖値を超過したことによる表示禁止の対象となる。

4. 登録集団要件

  • (1)総論
  •  次の①から⑥までの要件の全てに適合していることが必要である。

    1. 生産管理責任者の設置及び生産集団規約の策定等、表示を行う農産物を的確に生産・出荷する生産集団の管理体制が整備されていること
    2. 表示を行う農産物について、生産集団の構成員が依拠すべき栽培基準を作成していること
    3. 生産集団の構成員間で、栽培基準を遵守することについての栽培協定を締結していること
    4. 生産集団の構成員が表示を行う農産物の栽培に係る記録(栽培履歴)を記帳することが確実であること
    5. 生産集団のすべての構成員が、原則として前年に表示対象農産物を登録基準に適合して生産した実績を有していること
    6. 市町村クリーン農業推進協議会等による指導体制が整備されていること
  • (2)管理体制
  •  次に掲げる管理体制を整備する。

    1. 生産集団の責任者としての代表者の設置
    2. 生産集団の構成員の栽培管理や栽培履歴等の把握を行う生産管理責任者の設置
    3. 表示を行う農産物の集出荷管理及び証票の使用管理、情報管理を行う集出荷管理責任者の設置
    4. ①~③までの事項を内容とする生産集団規約の制定
  •  生産管理責任者は、登録集団の構成員が栽培基準等に基づく的確な生産・出荷を行うよう、次の事項等を行う。

    1. 構成員の栽培管理の指導
    2. 構成員が記帳する栽培履歴の定期的な確認

     生産管理責任者としては、登録集団の構成員又は農業協同組合の担当者等が想定される。

  •  集出荷管理責任者は、登録集団の構成員が栽培基準等に基づく的確な生産・出荷を行うよう、次の事項等を行う。

    1. YES!clean農産物の収穫・集荷・出荷の管理
    2. YES!clean農産物の収穫・集荷・出荷量の把握
    3. シンボルマークの制作・使用管理
    4. 消費者へのYES!clean農産物に関わる情報提供 等

     集出荷管理責任者としては、登録集団の構成員又は農業協同組合の担当者等が想定される。

  •  差し支えない。ただし、○○部や、○○課等は個人が特定出来ないため認めない。

  • 「代表者」及び「生産管理責任者」並びに「集出荷管理責任者」の設置に係る事項を現在の規約に追加して対応しても差し支えないものとする。

     また、既に規約があり、本要領で規定する事項を追加することが困難な場合は、別途要領を策定するなどの対応を行っても差し支えないものとする。

  • (3)栽培協定
  •  生産集団の構成員が、栽培基準の遵守や栽培履歴の記帳並びに表示を行う農産物を分別収穫・保管・出荷すること等について誓約することを内容とする。

  •  登録集団となるためには、すべての構成員が協定に参加しなければならない。

  • (4)栽培履歴
  •  栽培基準を遵守した生産の実績を消費者や実需者に情報提供することを目的として整備するものであり、共通事項として次の事項を定めたものである。

    1. 農産物名
    2. 作型名
    3. 品種名
    4. ほ場所在地
    5. 使用肥料の種類、銘柄名、使用量、投入時期
    6. 使用農薬の商品名、対象病害虫、使用量、使用時期
    7. 土壌改良資材等その他の使用資材の用途、商品名、使用量、使用時期
    8. 収穫日、収穫量、出荷日

     上記のほか、生産集団が所在する地域の条件や表示を行う農産物の特性等に応じて必要な事項についても定めるものとする。

  •  チェックシステム事務処理要領に基づくものとする。

  •  作業の都度記帳する。

  •  ほ場が特定できるよう、ほ場番号や地番など具体的に記帳するものとする。

     なお、原則ほ場ごとに履歴記帳するものとするが、同じ作業内容であれば、一つにまとめても差し支えない。

  • (5)生産実績
  •  前年が自然災害等で、やむを得ず登録基準を超えてしまった場合は、前々年の実績を適用できるものとするためのものである。

     作物の栽培期間によっては、申請年での実績を適用できるものとする。

  •  3人が前年において登録基準に適合した生産実績がある場合は可能であるが、ない場合は、登録基準(又は栽培基準)に基づく生産を1回行った後に、構成員として登録し、構成員変更届を提出の上、YES!cleanマーク等の表示を行うことができるものとする。

  •  実績づくりは個々の構成員がそれぞれ登録基準に適合した栽培を行わなければならないことから、複数名で実証を行う場合は、実績要件を満たしたとは見なさないものとする。

  •  実績づくりの年において、自然災害等によりやむを得ず登録基準を超えてしまった場合は、その前年の実績を適用するものとするが、その前年の実績も登録基準に適合しない場合は、当該構成員は登録申請することができず、さらに1年実績づくりを要するものとする。

  • (6)市町村クリーン農業推進協議会等
  •  市町村段階でのクリーン農業の推進を目的として設置される協議会であり、その組織構成については、農業団体、市町村、農業改良普及センター等を主要な構成機関として例示するものであるが、その他幅広く各分野の機関が参画し組織化されていることが望ましく、参画機関の条件・制約等は特に定めていない。

     なお、既存の市町村営農対策協議会等の規約にクリーン農業の推進等を加え市町村協議会として位置付けることも差し支えはなく、事務局の設置機関、組織の名称如何は問わない。

5. 登録の手続き

  •  登録を受けようとする生産集団は、道協議会あての申請書に必要書類を添付し、市町村協議会等に提出する。

     提出を受けた市町村協議会等は申請内容を検討し、道協議会に進達する。

     進達を受けた道協議会は、必要に応じて現地調査を行い、申請内容を審査した上で登録の適否を判断し、市町村協議会等を経由し通知する。

  •  登録の審査及び決定は年1回、12月を予定しており、これに係る登録申請書の道協議会への提出期限は同年の10月末としている。

  •  生産集団を網羅する広域的なクリーン農業推進協議会等があれば、その協議会に対し申請書を提出するものとなるが、そのような広域的な協議会がない場合、構成員比率、作付面積等を勘案し、主たる市町村のクリーン農業推進協議会等に対し申請書を提出するものとする。

     なお、申請書の提出を受けた市町村協議会等は、他の関係する市町村協議会及び、農産物を出荷する農協等との連携のもと道協議会に対し進達するものとする。

  •  原則、生産集団の構成員が在する市町村の協議会とし、可能な限り農産物の出荷先の農協に対する市町村協議会へのへの参画を呼びかけていただきたい。

     ただし、生産集団の構成員が在する市町村に協議会が無く、農産物を出荷する農協の在する市町村に協議会がある場合は、生産集団の構成員が在する市町村が農協の所在する市町村協議会に参画することによっても可とする。

  •  次の図による。

    図.Q109

6. 登録事項関係

  •  農産物毎に登録申請を行うこととする。

     なお、登録申請書に添付する栽培基準については作型毎に作成するものとする。

  •  登録期間の定めはない。

     ただし、登録集団が表示を行う農産物の生産に関する業務を廃止した場合や、不正な手段により登録を受けたことが判明した等の場合には、登録を取消すことがある。

  •  「慣行レベル」は、平成15年5月26日に改正された「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」において規定されたもので、「当該特別栽培農産物の栽培地の属する地域の同作期において当該農産物について慣行的に行われている化学合成農薬の使用回数」を「化学合成農薬の『慣行レベル』」、同様に化学肥料の窒素成分量を「化学肥料の『慣行レベル』」とし、「比較の基準」と規定している。 また、比較の基準である「慣行レベル」は、地方公共団体が定めたもの又は地方公共団体がその内容を確認したものとしている。

     このガイドラインに基づき、北海道では、主要な農作物の作型毎に、化学合成農薬の慣行レベルと化学肥料の慣行レベルを策定していることから、本制度においても比較の基準として活用することとしている。

7. 変更申請関係

  • (1)栽培基準
  •  次のケースが生じた時には、栽培基準変更申請手続きが必要となる。

    1. 肥料・化学肥料の使用量及び化学合成農薬の使用回数に関して、 登録基凖には適合しているが、登録を受けた栽培基凖で定めた使用量及び使用回数を超えて使用することが見込まれる場合
    2. 栽培基凖に定めていない農薬を使用する場合
    3. 栽培協定書における協定内容を変更する場合
    4. その他道協議会が必要と認めた場合

    品種の変更等、化学合成農薬以外の農薬の変更、土壌改良資材等その他資材の変更、有機物、有機配合肥料の変更、総窒素施用量の減、化学肥料の使用量の減、化学合成農薬の減

  • (2)構成員の変更
  •  栽培協定における生産集団の構成員に変更があった場合、要領別記第11号様式の生産集団構成員変更届により、あらかじめ市町村協議会を経由し道協議会へ届け出なければならない。

     なお、新たに構成員を追加するに当たっては、最低1作以上、登録基準に適合した生産を行った実績を有するものとする。

  • (3)その他
  •  登録生産集団名称、代表者、連絡先の変更等は、要領別記第6号様式の登録事項等変更届により、遅滞なく市町村協議会等を経由し、道協議会へ届け出るものとする。

  •  栽培期間中については、変更申請手続きの対象となる事項が生じた後、速やかに提出するものとする。

     なお、次年度の栽培に向けて変更する場合は、1月末日(1月末日までに栽培を開始する場合にあっては、栽培を開始する1ヶ月前)までに行うものとする。

8. 表示関係

  • (1)マーク等表示
  • ① 総論
  •  シンボルマークと栽培内容等である。(要領別記第12号様式参考)

     表示方法については別途定める「YES!clean V.Iマニュアル」に基づくものとする。

  •  平成15年度の改正において、シンボルマーク等の露出度をアップすることにより、当制度の認知度の向上を図るために表示を義務化することとしたので、表示は必ず行わなければならない。

  •  登録を受けた後に、登録に係る栽培基準に基づき栽培が開始され、分別収穫、保管、出荷がなされる農産物から表示できるものとする。

  •  シンボルマークや栽培内容等を票片等へ印刷し、取引先に提示する等により対応するものとする。

     シンボルマーク及び栽培内容等の表示に関する考え方は別添のとおり。

  •  シンボルマークや栽培内容等を票片等に印刷し、取引先に提示する等により対応できるものとする。

  •  表示方法については別途定める「YES!clean V.Iマニュアル」に基づくものとする。

  •  シンボルマークの印刷のために黒を追加することによりコスト増となる場合などは、緑など指定色以外の使用について道協議会と協議し、承認を得ることにより指定色である黒以外の使用もできるものとする。

  •  シンボルマークのみ印刷又は貼付しても差し支えない。

     ただし、個々の農産物や少量パック等を梱包するダンボール等には、シンボルマーク及び栽培内容等を表示しなければならない。

  •  生産された全ての農産物ではなく、当該栽培基準に基づく生産がなされなかった部分の農産物については、表示を行うことはできない。

  •  分別できない場合は、表示を行うことはできない。

  •  毎年使用計画及び使用実績を報告することで可能。(要領別記第2号様式)

  •  YES!clean表示制度に基づいて生産された農産物を原材料として製造された加工食品にあたっては「加工食品におけるYES!cleanマーク表示要領」(平成23年6月制定)により、YES!cleanマーク等を表示することができる。
     なお、表示にあたっては、当該要領に基づき、加工事業者から道協議会へ申請し承認を得る必要がある。

    表示例

    図.Q128
  • ② 栽培内容等(セット表示)
  •  連絡先は、生産集団の代表者に限定せず、農協の担当課や集出荷管理責任者とするなど、消費者からの当該YES! clean農産物に関する照会等に的確に対応するため、消費者が円滑に連絡が取れるよう記載すること。

  •  原則、栽培基準を記載する。

     ただし、使用実績を表示できる場合にあってはこの限りでない。

  •  「○%以上減」の表示もできることとし、表示に当たっては、小数点第1位を切り捨てし、整数値で表示するものとする。

     [表示例]45.8%減の農産物の場合、「45%以上減」もしくは「4割以上減」と表示するものとする。

  •  作型ごとに登録基準が定められていることから、シンボルマークとセットで表示する栽培内容等は、当該作型ごとに区分して表示することを原則とする。

     ただし、同一農産物において複数の作型で登録を受けている生産集団の場合、複数の作型の収穫期間が重複し、収穫・集出荷段階で複数作型の農産物がやむを得ず混ざるケースも懸念されることから、この場合においては、複数作型の中から化学肥料の使用量と化学合成農薬の成分使用回数のの栽培基準または栽培実績の最大値を表示するものとする。

  •  以下のように表示する。
     [表示例]トマト
     登録作型は、促成・半促成(登録番号300 09-12)、ハウス・長期どり夏秋どり(登録番号300 09-13)、ハウス抑制(登録番号300 09-14)の場合で、作型を混ぜて出荷する場合、登録番号は、第300 09-12、13、14号と表示するものとする。

  • ③ 表示を行う農産物に係るより詳細な情報の公開
  •  次の情報を公開するものとする。

    1. 農産物名
    2. 品種
    3. 作型
    4. は種期、定植期、収穫期
    5. 活用しているクリーン農業技術
    6. 栽培基準における化学肥料の使用量、化学合成農薬の成分使用回数、慣行レベルからの減少率
    7. 使用した化学肥料の銘柄名及び使用量(10a当たり窒素成分量)
    8. 使用したカウント対象農薬の商品名、用途、対象病害虫等及び成分使用回数
    9. 使用した化学肥料以外の肥料の銘柄名及び使用量、カウント対象農薬以外の農薬の商品名、用途、対象病害虫等及び使用回数及び土壌改良資材等その他の資材の商品名、用途及び使用量
    10. その他必要事項
  •  情報公開の方法は、シンボルマーク及び栽培内容等の表示に併記または当該農産物への票片の添付、もしくはホームページ等により行うものとする。

     従って紙1枚による取引先に対する情報公開でも差し支えない。

     農産物情報等の公開手法に関する考え方は別添のとおり。

  •  相対取引等、取引先が決まっている場合は、最初の出荷時に票片を取引先に提示するのみで差し支えないものとする。

     ただし、卸売業との取引後、当該卸売業が表示の対象となる農産物を複数の小売業と取引する場合等においては、ダンボールの中への票片の添付や、当該卸売業に対して取引先小売業への票片の写しの配布を依頼する等を行い、可能な限り多くの関係者が、表示の対象となる農産物に関する詳細な栽培情報を取得できるように努めるものとする。

  •  当制度の信頼度を向上させていくためには、消費者や実需者が、YES!clean農産物に関わる情報を得る機会を増やしていくことが課題となっている。

     このためには、YES!clean農産物の生産に関わる機関が一体となって情報提供していくことが必要であることから、登録集団自らも消費者の関心が高い化学肥料や化学合成農薬の使用状況のほか、生産集団の概況や導入したクリーン農業技術等の情報を提供していくことを義務付けている。

9. 登録集団遵守事項

  • (1)栽培基準報告
  •  次の事項が生じた時に、変更手続きを行う。

    1. 肥料・化学肥料の使用量及び化学合成農薬の使用回数に関して、登録基準には適合しているが、登録を受けた栽培基準を超えて使用することが見込まれる場合
    2. 栽培基準に定めていない農薬を使用する場合

     次の場合には、報告手続きを行う。

    1. 次年度の栽培基準が当年度のものと同じである場合
    2. 次年度の栽培基準が当年度のものよりも肥料・化学肥料の使用量又は化学合成農薬の使用回数が削減されているとき。ただし、当年度に使用していない化学合成農薬を使用するときは変更申請の対象となる。
  • (2)事故発生報告
  •  登録の取消しの対象とはならないが、事故発生年度の当該農産物にシンボルマーク等の表示はできないものとする。

     ただし、毎年連続して本ケースが生じる等、栽培基準の妥当性が懸念される時は、道協議会で審査の上、登録取消しとなる場合もある。

  • 「登録農産物生産中止届」は表示対象農産物を栽培する以前に何らかの理由により構成員の全員・全筆について生産を中止した場合に手続きを行うものである。

    「事故発生報告書」は表示対象農産物を栽培開始した後、構成員の全員・全量について表示対象農産物が、①自然災害等の緊急的な理由により登録基準に適合しなくなった(登録基準の成分使用回数を超える化学合成農薬の使用、登録基準の肥料・化学肥料の施用量上限値を超える施肥など)場合、②表示対象農産物と慣行農産物が混合するなどにより、分別・収穫・保管・出荷が困難となった場合に手続きを行うものである。

10. 流通企業を対象としたYES!cleanマーク表示要領

  •  申請者が作成したシールを自ら貼付し、シールを適正に管理することが条件となることから、設問のような取扱いはできない。このような場合(実際にシールを使う者が小売店の場合)は、各小売店がそれぞれ申請し、シールを作成することとなる。

  •  管理責任者が各店舗に配置している管理担当者に対してPOP及びシールの適切な管理ができれば問題ない。

  •  可能である。ただし、承認申請を行い、承認を受けた場合は別に定める「YES!clean.V.Iマニュアル」に基づき作成し、、適正に管理すること。なお、YES!cleanマークだけの表示では産地や栽培内容がわからないことから、栽培内容等の情報について、票片等により、別に店内に掲示する必要がある。

  •  シール、包装容器等で産地を特定できる場合は、一括、山積みにして販売することができるが(シールに栽培内容がない場合は別途、店内に票片等の掲示が必要となる。)、シール、包装容器等で産地を特定することができない場合は、中仕切を入れ分別管理し、関係する集団の票片等をそれぞれ掲示するなどして、どの農産物がどの集団のものか、産地を特定できるようにする必要がある。

  •  原則、カットした農産物それぞれにシールを貼付することとなる。なお、YES!cleanのマークだけの表示では産地や栽培内容がわからないことから、栽培内容等の情報について、票片等などにより、別に店内に掲示する必要がある。

11. その他

  •  登録申請書を道協議会に進達するときに添付する「別紙2 市町村クリーン農業推進協議会等構成組織一覧」に記入することにより、報告するものとする。

  •  制度の周知・定着、産地育成等に向けて、ホームページの開設、パンフレットの作成等によるPR活動や、市場関係者・実需者等を対象にした情報提供の実施、量販店等と連携したフェアの開催等、登録集団等に対する技術指導等を行い、産地を側面的に支援する。

  •  特別栽培農産物は、化学肥料の使用量(窒素成分)及び化学合成農薬の成分使用回数を、地域の慣行的な使用量及び成分使用回数からそれぞれ5割以上の削減をしたものをいうが、YES!clean農産物はクリーン農業技術を導入して、慣行栽培と同等の収量・品質を維持でき得る化学肥料の使用量(窒素成分)及び化学合成農薬の成分使用回数を下回ったものをいう。

  •  トラブルのケースにもよるが、個々の農産物の瑕疵に基づくトラブルについては登録集団が対応するとともに、表示上の責任についても登録集団が負うものとなる。

    1. シンボルマーク及び栽培情報(「北海道安心ラベル」下の枠内)
      1. 要領における表示の手法(要領第12条第2号)
        農産物又は容器包装類への貼付、又は刷り込み若しくは票片の添付等により行わなければならない。
        1. 「農産物又は容器包装類への貼付、又は刷り込み若しくは票片の添付」の解説
          • 農産物に直接貼付かダンボール等の容器包装類に貼付や印刷
            (例)
            • 農産物に直接シール貼付 ~ ○○町すいか
            • ダンボールに印刷 ~ △△トマト等
            • 小袋に印刷 ~ ××青果連ほうれんそう等
          • ダンボールや小袋の中に票片を入れることでも対応可
        2. 「等」の想定ケース
          • ①の「農産物又は容器包装類への貼付又は、刷り込み若しくは票片の添付」が物理的に困難な場合の措置
            (例)フレコンや通いコンテナ出荷をしている場合
            票片1枚を取引先に提示することにより対応
          • 小売業と直取引をしており、小売業が既に当制度を認識している場合。
            (例)生協と産直をしており、生協も当制度を認識。マークを印刷した箱はコスト高となるので取引先からも必要ないと言われている場合
             慣行栽培農産物と混ざり合わないことを前提に票片1枚を取引先に提示することにより対応
    2. 公開しなければならない農産物情報等
      1. 要領における情報公開の手法(要領第12条第4号)
        統一シンボルマークへの併記又は票片やホームページ等
        1. 「統一シンボルマークへの併記」の解説
          統一シンボルマークへの併記又は票片で公開する場合は、ページ93~95を参照のこと。
        2. 「票片やホームページ」の解説
          • 下図例のように紙にまとめ、取引先等への配布や集団のHPで公開
            図.記入用紙
        3. 「等」の想定ケース
          • POP、チラシの販促グッズ等
        4. なお、化学肥料や化学合成農薬の使用実績で開示する場合は、その旨を記載すること。